眠れない時に薬は必要か?

「睡眠薬」と聞くとあまり良いイメージがないかもしれません。最後の手段のように考える方もいるでしょう。自殺や事件のニュースなどで悪用されたのを見て更に嫌なイメージを持っている方さえいるかもしれませんね。

それでも重度の不眠、睡眠障害に苦しんだ経験がある方であれば、効果的な睡眠薬の処方は、まさに何物にも代えられない「天の助け」に思えるものです。

皆さんは熱が出れば解熱薬を、頭が痛ければ頭痛薬を飲むでしょう。日常生活がまともに送れない程に熱や頭痛で苦しんでいる状態で、何ヶ月も飲むのを我慢したりはしませんよね?それと同じで睡眠薬は特別なものではありません。眠れなければ睡眠薬、睡眠導入剤を飲んでいいのです。

眠りが不調、浅い、寝付きが悪い程度であればリラックスする音楽やアロマ、薬局で買えるような睡眠補助薬(ドリエルやナイトール、ネオデイ等)を試してみてもいいいでしょう。それで眠れれば問題はありません。

ですが眠れない状態が長期間続いたり、眠れないことで強い不安感や強迫観念があるようならきちんと医療機関を受診することをおすすめします。いきなり精神科の門をたたくのがハードルが高ければ心療内科やクリニックで大丈夫です。

現在の睡眠状態や他の疾病、健康状態などを合わせて考えて薬が処方されます。主に効きの強さや効果時間や副作用に応じてデパス、ハルシオン、ベンザリン、レンドルミン、サイレース、ロヒプノール、アモバン、マイスリー等の薬の種類と量が決まります。

よくある勘違いが「薬を飲んで寝ることに慣れると依存症になる」「薬なしで眠れなくなる」です。処方の段階できちんと副作用についても考えられていますし、睡眠状態が改善されれば少しずつ減薬して最終的に薬がなくても眠れるようになります。

逆に「薬を飲まずに我慢していれば眠れるようになる」ことはありません。我慢すればするほど睡眠状況は悪化します。そうすると「眠れないこと、苦しいこと」が通常の状態になってしまい、自力で改善することがどんどん困難になります。

きちんと決められた用量用法を守れば薬に頼って大丈夫です。我慢しないで薬とうまく付き合っていくことを考えましょう。